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転倒予防のために家でできること|リハビリ職の視点で解説

2026年08月06日

高齢になると、「少しつまずきやすくなった」「家の中でふらつくことが増えた」と感じる場面が少しずつ増えていく方もいらっしゃいます。
転倒は単なる年齢のせいで片づけられるものではなく、筋力やバランスの低下、病気や服薬の影響、
住環境の問題など、いくつもの要因が重なって起こることが多いため、早めに対策を考えることが大切です。

今回は、転倒予防のために家でできることを、リハビリ職の視点から解説します。
環境調整のポイントに加え、身体機能の低下にどう向き合うか、訪問リハビリやデイサービスをどう活用できるかについても紹介します。

高齢者の転倒は、屋外よりもむしろ住み慣れた自宅の中で起こることが少なくありません。
加齢に伴って筋力、バランス能力、注意力が低下すると、これまで問題なくまたげていた小さな段差や、見慣れた家具の配置でもつまずきやすくなります。
また、薬の副作用によるふらつきや、運動不足による下肢筋力の低下も、転倒リスクを高める要因になります。

転倒は打撲だけで済むとは限らず、骨折や入院、活動量の低下、その後の要介護状態につながることもあります。
そのため、「まだ歩けるから大丈夫」と考えるのではなく、少しでも不安が出てきた段階で予防に取り組むことが重要です。

転倒予防というと、筋トレや体操をイメージする方が多いかもしれません。
しかし、リハビリ職の視点では、転倒予防は「身体機能」と「生活環境」の両方を一緒に見ることが大切です。
体の機能が落ちていても、家の環境を整えることで安全に暮らせることがありますし、逆に筋力がある程度保たれていても、滑りやすい床や暗い廊下があれば転倒は起こりえます。

特に高齢者の場合は、複数の原因が重なって転びやすくなります。
たとえば、足の筋力が少し落ちているところに、夜間の暗い廊下、急いでトイレに向かう状況が重なると、それだけで転倒の危険は高まります。
だからこそ、単に「運動しましょう」で終わらせず、日常生活のどこに危険が潜んでいるかを具体的に確認することが大切です。

居間や寝室では、新聞、衣類、コード類、座布団の端など、ちょっとした物がつまずきの原因になります。
歩く動線にはできるだけ物を置かず、コードは壁際に寄せる、ラグやマットは滑り止めを使うなど、まずは床をすっきりさせることが基本です。

また、ベッドから立ち上がった直後はふらつきやすいため、すぐにつかまれる家具の配置や、足元を照らす照明も役立ちます。
夜間トイレに行く機会が多い方ほど、寝室からトイレまでの動線確認は大切です。

玄関は、段差、方向転換、片足立ち動作が重なりやすい場所です。
靴を脱いだり履いたりする際にふらつくことも多いため、必要に応じて手すりや腰掛けを設置すると安心です。
上がりかまちが高い場合には、踏み台の利用を検討することもあります。

「外出時は気を張っているけれど、家に入った瞬間に気が緩んで転びそうになる」という方も少なくありません。
玄関は意外と転倒リスクが高い場所として見直しておきたいポイントです。

廊下や階段では、照明不足と手すりの有無が安全性に大きく影響します。
夜間に足元が見えづらい、階段の段差が見えにくい、手を添える場所がない、といった状態は転倒につながりやすくなります。
廊下や階段には十分な明るさを確保し、必要なら人感センサー付きライトなども活用するとよいでしょう。

浴室やトイレは、濡れた床、狭い空間、立ち座り動作が重なるため、家の中でも特に転倒しやすい場所です。
滑り止めマットの使用、手すりの設置、椅子に座っての更衣や洗身など、その人の状態に合わせた工夫が必要です。

特に「浴槽をまたぐ」「便座から立ち上がる」といった動作は、下肢筋力やバランス能力の影響を受けやすいため、不安がある場合は一度専門職に見てもらうと安心です。

転倒予防を考えるうえで忘れてはいけないのが、フレイルの視点です。
フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間にある、心身の活力が低下した状態を指します。
歩く速度が遅くなる、疲れやすくなる、外出が減る、食が細くなるといった変化は、転倒しやすさにも直結します。

厚生労働省では、フレイル予防の柱として「栄養」「身体活動」「社会参加」の3つを挙げています。
つまり、転倒予防は単に筋力をつけることだけでなく、しっかり食べること、人と関わること、生活の中で動く機会を保つことまで含めて考える必要があります。

リハビリ職が転倒予防で重視するのは、「この人はどこで、どんな時に、なぜ転びやすいのか」を具体的に見ることです。
たとえば、まっすぐ歩くのはできても、方向転換でふらつく方がいます。
また、家の中では歩けても、玄関の段差や屋外の不整地で不安定になる方もいます。

つまり、転倒予防は一律ではなく、生活場面ごとに課題を見つけることが大切です。
リハラボでも、歩行や移動に関する支援として、実際の生活に近い動作を意識したリハビリや、利用者ごとの目標に応じた個別支援を行なっています。

自宅での転倒予防を進めるうえでは、家族だけで抱え込まず、専門職の力を借りることも大切です。
訪問リハビリでは、実際の自宅環境の中で、立ち上がり、歩行、段差昇降、トイレや浴室動作などを確認しながら支援を受けることができます。
家の中の危険箇所を一緒に見つけ、環境調整につなげられるのも大きな利点です。

一方、デイサービスは、定期的に体を動かす習慣をつくりやすく、活動量の確保や生活リズムの維持にもつながります。
リハラボのデイサービスでは、グループ運動と個別支援の両面から、利用者それぞれの目標に応じた運動支援を提供しています。

また、デイサービスで体力づくりを継続しながら、訪問リハビリで自宅内の動作を確認するという併用も有効です。

転倒予防でいちばん大切なのは、「転んでから対策する」のではなく、「転ぶ前に気づいて整える」ことです。
最近つまずきやすい、立ち上がりが不安、家の中での移動が怖くなってきた、外出の回数が減ってきたといった変化は、支援を考えるサインかもしれません。

早めに相談することで、住環境の見直し、運動の工夫、必要なサービスの導入など、できる対策は多くあります。
本人だけで抱えず、家族や専門職と一緒に、安心して暮らし続けられる方法を考えていくことが大切です。

高齢者の転倒予防では、筋力低下などの身体面だけでなく、自宅の環境や生活の流れまで含めて考えることが大切です。
床に物を置かない、段差や滑りやすさを見直す、照明を整えるといった工夫は、今日からでも始められます。

そのうえで、歩きにくさやふらつきが気になってきた場合は、フレイル予防の視点を持ちながら、訪問リハビリやデイサービスなどの専門的な支援につなげていくことが、転倒を防ぎ、自分らしい生活を続けるための大きな助けになります。


参考情報
政府広報オンライン|高齢者の転倒予防
厚生労働省|フレイルを知って健康長寿

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