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リハラボ町田

【リハラボ杉並・町田】脳卒中後の運転再開までの歩みと現状の課題。 ーー当事者・堀川裕之さんに聞く

2022年10月24日
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Reha Labo Japanが東京都杉並区・中野区・町田市に展開する「リハラボ」は、「リハビリと看護の力で地域を支える」というコンセプトのもと『リハビリ専門デイサービス』と『訪問看護ステーション』を運営しています。

脳卒中後、後遺症により歩くことが難しくなった場合、外出はどうしたら良いの!? と悩みを抱えている当事者の方は少なくないと思います。

今回は、リハラボ町田のスタッフと共に運転支援の研修会や移動支援のイベントに関わって頂いたり、スタッフが発表した論文にも登場して頂いている、脳卒中当事者の堀川裕之さんに「移動」や「自動車運転」をテーマにお話を伺ってみたいと思います。

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■ 堀川裕之さんプロフィール
1964年生まれ。2012年6月に交通事故で心不全を起こし救急搬送。心筋梗塞等と脳梗塞併発し上肢下肢右半身麻痺と失語症の後遺症が残り、半年間に渡るリハビリにより数m杖歩行が可能となるも、主な移動には車椅子を利用。外出時は改造車を使用し運転する。障害者平等研修(DET)登録ファシリテーター、相模原みらい交流会所属、Jリーグトップクラスボランティア、オリンピックのフィールドキャストを務めるなど多方面で活動。

(堀川さんに協力いただいたリハラボ町田スタッフ永島氏の論文:日本臨床作業療法研究 No.6:33~37,2019 )


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リハビリの日々の始まり

ーー 堀川さんのご病気や障がいのことについて教えてください。

2012年、私は通勤途中でダンプカーと正面衝突するという交通事故にあいました。当時、47歳のことです。幸い身体に骨折などはありませんでしたが、心筋梗塞とそれに伴う脳梗塞を起こしており、救急搬送されます。最初は脳が原因ではないかということで脳神経外科の病院に運ばれましたが、やはり心臓が原因ではないかということで循環器内科に強い病院に転院搬送となりました。そこで、心臓にステントを入れる手術を受けることになります。

脳にも血栓がとんだことで、広範囲の脳梗塞を起こしていました。右半身の麻痺と言語の障がいが残り、心臓の治療後は最初の病院に約2ヶ月、その後、リハビリ目的に転院した病院に半年間入院することとなります。

右半身は重度の麻痺が生じていたため、最初の病院の時は車椅子に乗るのがやっとの状態。歩行も少しはできましたが、スタスタと歩ける状態ではなく実用的ではありませんでした。自分自身、車椅子での生活となることを覚悟しました。

運転再開が目標に

ーー 運転の再開を考えられたタイミングやきっかけについて教えてください。

入院して最初の3ヶ月は、とにかく死にたいとばかり思っていました。しかし、「運転さえできれば社会復帰が可能」だと思えた時、ようやく吹っ切れてやる気になれたのです。自宅が高台にあり最寄り駅まで坂が多いため、公共交通機関を使うよりは運転しちゃった方が良いと思いました。

自動車は事故の半年前に買い替えたばかりで、幸い大きな破損はなかったので出来ればまた乗りたいなと考えていました。入院中から、歩くことよりも運転できるためのリハビリをしたいと思うようになります。杖で歩くのも必要だけど、それは家から駐車場までの数mで良い。私にとっては、車を運転出来ることが自分の生きる術だと感じました。

私のリハビリの目標は、当初から「運転を再開すること」になります。

ーー 実際に、運転を再開するまでの流れを教えてください。

運転再開に向けては、まず主治医の先生に許可をもらいます。それをもって、免許センターにいきました。

2月に退院し、4月には免許を取得。車の改造も必要だったため、退院して間もなく自分で改造してもらえそうな工場を探し当て、相談しにいきました。そして、GW中に改造車が完成します。

しかし、免許を取得し改造車もできたものの、アクセルとブレーキが反対になっていたためすぐに運転を再開するのには恐怖心がありました。そのため、自動車学校に通うことにし、校内で1回、路上で2回ほど教習所の改造車を使用し練習しました。

その後、自信がついたところで今度は妻に付き添ってもらい、近所のスーパーの往復を運転することで練習を重ねます。2〜3ヶ月は、スーパーへの往復をひたすら運転しました。

改造車について

ーー 自動車は、どんな改造をされたのですか?

アクセルを左に変更し、普通のアクセルはカバーをかけて踏まないようになっています。ブレーキはそのままです。また、ハンドルにステアリンググリップ(旋回ハンドル)とライトやウインカーのボタンをつけました。ドアには、閉めやすいように紐がついています。

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ステアリンググリップ

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ドアを閉める際の補助紐


私の場合、自動車の改造費用はトータルで30万円くらいかかりました。補助金が10万円くらい出たと思います。

ーー 現在、運転時に困っていることはありますか。

駐車場ですね。障害者専用の駐車場が見てすぐに分かるようになっているとありがたいなといつも思います。車椅子に乗って移動するため別に入り口近くになくてもいいので、とにかく車椅子専用の駐車場が欲しいです。

障害者用の駐車場がない場合、混んでいる時に2台分のスペースに停めると嫌な顔をされますが、車椅子をおろしたりするのにどうしてもスペースが必要なので仕方がなく停めることになります。

また、コインパーキングの精算するところも、もう少しスペースが欲しいですね。駐車場が砂利道になっている場合も、非常に使いにくいです。

このようなことから、出かける際にはGoogleや知り合いの車椅子ユーザー、移動支援を専門にしている人にしっかりと駐車場についてリサーチをしてから出かけるようにしています。

運転できる喜び

ーー 運転に慣れてからはどんな場所に行かれましたか? 

神奈川に住んでいるので、江ノ島方面にドライブに行きました。運転は座ってるので楽なのですが、車椅子をセットしたりトイレに行ったりするのが大変なのでギリギリトイレが我慢できる距離まで行って帰ってくる、ということをしていました。

しかし、色んな場所に行きたいものの、仲間もいなくてつまらないので次第に引きこもりになっていきます。退院して2年くらいは、訪問のリハビリとマッサージを受けていたので、それだけが唯一の社会との繋がりでした。

その後、入院中に始めたSNSの繋がりがきっかけとなり、少しずつ社会との接点をもとうと再び外に出ていくようになります。

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サーフィンにも挑戦されるようになった堀川さん

ーー 運転再開を視野にリハビリに励まれる「当時の堀川さん」に声がかけられるとしたら、どんな言葉を送りますか。

運転再開してよかったのは、選択肢が増えたことです。自分で自由に動けるっていうのは、やはりとってもいいです。バスや電車だと限られちゃうし範囲が狭い。駅員がいないと足止めも食らうし、新幹線だと障害者用の席が取れないと困ります。

最初は恐ろしくてなかなか慣れないと思うけど、楽しい未来があるから頑張って!と、エールを送りたいです。

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